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ア ン ノ ウ ン ス カ ウ ト 物 語
-名も知れぬスカウトの善行-


1909年の秋のことでした。
イギリスの都・ロンドン市は、この日も一日中濃い霧に包まれていました。
アメリカのイリノイ州シカゴからロンドンへと仕事のためにやって来た、
出版業のウイリアム・ボイス氏は、道がわからなくて、困り果てていました。

 ボイス 「 事務所はこの辺りにあると聞いていたのだが、こうも霧が濃いと
     今どこに居るのかさえさっぱり分からん ・・・・・・・・・・・
     ああ、困った、こまった。」


困り果てたボイス氏が、道を探しながらあたりをさまよっていると、霧の中から
一人の少年が近づいて来ました。

 少 年 「 おじさん! どうかされたのですか? 」

 ボイス 「 ああ、この霧で訪ね先の事務所がわからなくてねぇ。・・・・
     随分とあちこち探しているのだが ・・・ 困ったもんだよ。」


そう言って、ボイス氏が少年に地図を見せると ・・・

 少 年 「 ああ、ここなら僕わかります。・・すぐ近くですよ。・・・・
    よかったら、僕が案内します。」


そう言うと、少年は先に立って、ボイス氏を気遣うように、その事務所まで
案内しました。


 少 年 「 ここですよ。」

 ボイス 「 いやー助かったよ、どうもありがとう。」

ボイス氏が ( アメリカ人の習慣に沿って・・・ )
少年に チップをあげようと、ポケットから取り出し
渡そうとすると・・・ ( ほぼ同時に ) 少年は 勢いよく
右手を上げ、三指の敬礼をしながら・・・


 少 年 「 僕はボーイスカウトです。・・・・今日も何か良いことをする
    つもりでいました。・・・・お役に立ててうれしいです。・・・
    スカウトは他の人を助けることで、お礼は貰わないのです。・・
    それより、日々の善行のチャンスを与えて下さってありがとう
    ございました。」


そう言って、少年は ( チップを受け取らずに ) 立ち去ってしまい、ボイス氏は、
その様子に、あっけに 取られてしまいました。

 ボイス 「 ボーイスカウト・・・? 日々の善行・・・? 何なんだ、あの少年は・・・?」

少年からボーイスカウトのことを聞いたボイス氏は、用事を済ませた後・・・
イギリスの本部でボーイスカウトのことを詳しく調べました。

 ボイス 「 ・・・ ボーイスカウトって言うのは、2年ほど前に始まった運動か・・・
    ・・・ フム、フム ・・・ あんな少年を育てるのか、凄いぞ!この運動は・・・ 」

 ボイス 「 それにしても、あの少年、名前は何と言うのだろう? 」



ボーイスカウトのことを詳しく調べたボイス氏は、
アメリカに帰って 大統領のタフト氏などに話し、
やがて、アメリカ でも ボーイスカウト運動 が
始まりました。・・・・・・

たった一人の少年の、小さな ささやかな善行が、
アメリカのたくさんの少年達に・・・・
( いや、世界中のたくさんの少年たちに)
ボーイスカウトを伝える元となったのです。





1912年 (明治45年) 神戸のフレデリック・ウォーカー牧師が
設立したボーイスカウト隊。
日本には、時を同じく 1908年 (明治41年) に
ボーイスカウト運動 が 伝わり、全国各地 に
色々 な 少年団 が 数多く 作られましたが、
その後、全国的 な 統一結成 への動きが起こり、
1922年 (大正11年) 4月13日「少年団日本連盟」が
創立 され、ボーイスカウト国際事務局 に
正式加盟し、世界の仲間入りを果たしました。
これが日本におけるボ ーイスカウト運動の
始まりです。


       

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